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シノブゴケ(トヤマシノブゴケ)

シノブゴケ科|学名:Thuidium kanedae
シノブゴケ(トヤマシノブゴケ)

シノブゴケは、春や秋は黄金色に変わるなど、季節によって変化が楽しめる苔です。
這うように成長するため、苔壁や盆栽、苔テラリウムなどの、装飾として人気があります。
5〜10cmの大型の苔であることから、野鳥の巣作りにも重宝されているようですね。
今回は、野鳥にも人気があるシノブゴケ(トヤマシノブゴケ) の育て方を詳しく解説します。
見た目が似ているハイゴケとの違いについても触れていきますので、ぜひ参考にしてください。

シノブゴケの基本情報

シノブゴケの育て方や注意点

ここではシノブゴケの見た目や生息地、分布、日当たりについて解説していきます。

シノブゴケの名前の由来

シノブゴケは、シノブゴケ科シノブゴケ属に分類されている苔です。
シダ植物の「しのぶ」に似ていることから、名前の由来にもなっています。
園芸店では、「シノブゴケ」で売られていますが、実際はオオシノブゴケ、トヤマシノブゴケ、アオシノブゴケなど、いくつかの名称があります。
和名は「トヤマシノブゴケ」で、コケ植物研究者でもある外山礼三博士にちなんでつけられました。

シノブゴケの見た目

シノブゴケの見た目

シノブゴケは、シダ植物の「しのぶ」を小さくしたような見た目をしています。

シノブの見た目

上記の画像は「シノブ」ですが、たしかに似ていますよね。
中心には勢いのある茎があり、そこから枝分かれしながら横に這うように広がっていきます。茎についている葉は大きく、対照的に枝の葉は非常に小さいのが特徴です。

シノブゴケの特徴

シノブゴケとは

黄色味の強い苔
乾燥すると枝が縮れて葉は茎に密着する
サイズは5〜10cm
枝分かれする
3回の羽状複葉
横に這うようにして広がる
大型の苔

よく観察すると、葉の表面にはパピラと呼ばれる突起があります。
シノブゴケは、3回の羽状複葉を形成しながら、5〜10cm程度のマット状に広がります。
このパピラの数と形が、シノブゴケの分類を決める重要な要素となっているのです。

シノブゴケの生息地

シノブゴケは、湿り気の多い場所を好んで生息しています。
林道脇
渓流の岩上
腐木
腐植土
土上
山の中や倒木はもちろんですが、自然公園にも生息していますので、散歩がてらに見つけられるかもしれません。

シノブゴケの分布

シノブゴケは、日本全国から朝鮮半島、中国、ロシアの極東地域まで、東アジアの温帯から亜寒帯にかけて広く分布しています。

シノブゴケの分布

シノブゴケは、日本全国から朝鮮半島、中国、ロシアの極東地域まで、東アジアの温帯から亜寒帯にかけて広く分布しています。

シノブゴケが好む日当たり

日照量

-solar radiation-
日照量

シノブゴケは、木漏れ日から明るい日陰を好むとされています。
自然の中のイメージとしては、広葉樹の林の中といった感じでしょうか。

庭や室内で育てる場合は、下記の場所がおすすめです。

【庭の場合】
大きな樹木の下
背の高い植物の根元
坪庭
北側の庭

【室内の場合】
レースカーテン越しの窓辺
北向きの窓際

室内で育てる場合は、乾燥に弱いため温度調節が難しい傾向があります。
加湿器で調節している方もいるようですね。
うまく育てるためには、直射日光が当たらない場所がおすすめです。

シノブゴケの育て方

ホソバオキナゴケ

ここからは、シノブゴケの適した土や水やり、育て方について解説していきます。

シノブゴケは、適度な排水性と通気性を備えた土を好みます。

シノブゴケは、適度な排水性と通気性を備えた土を好みます。
赤玉土
ピートモス
川砂
パーライト
畑土
黒土
苔テラリウムの場合は、樹皮培養土もおすすめです。

HappyMossの苔マットは、生育済みの苔が厚さ15〜20mmのピートモス上に生えているため、専用の土を準備する手間はありません。
苔マットを敷くだけで簡単に完成し、土壌が合わないといった心配もなし。
自然の苔を移植する場合と比べ、失敗のリスクが少ないのもHappyMossの苔マットの魅力です。

水やり

庭で育てる場合は、雨だけで十分な水分を吸収できます。よほどの日照りがなければ水を与える必要はありません。
苔テラリウムで育てる場合は、葉が乾いてきたら霧吹きで水を与えましょう。
シノブゴケは乾燥すると見る影もなくしおれてしまいます。
水やりを怠ると、あっという間に生気のない姿になってしまうので注意してください。

シノブゴケの用途

シノブゴケの用途

ここからは、シノブゴケの育て方や用途について解説していきます。

苔庭

一度、根付くと枯れにくい性質があるため、苔庭にも適しています。
木漏れ日から明るい日陰の場所に植え付けましょう。
シノブゴケだけではなく、日当たりに注意しながらハイゴケやスギゴケ、ヒノキゴケなどを組み合わせた苔庭もおすすめです。

苔テラリウム

苔テラリウムで育てる場合は、通気性の良い容器がおすすめです。
シノブゴケは徒長しやすい苔のため、蓋がある容器で育てると這うように育ちません。
できれば蓋のない容器を選ぶと良いでしょう。
上に向かって伸びている場合は、徒長している証ですので、場所や容器を変えるなどで対処してください。

盆栽

通常の盆栽は、樹木の根元に苔を貼りつけて楽しむ方法が一般的ですよね。
流木や多孔質の岩にも定着しやすいので、樹木ではなくさまざまな素材を組み合わせて作成している方も。いろいろな楽しみ方がありますよ。

苔玉

シノブゴケは、苔玉にも適しています。
ただし這うように成長するため、立体的なボリューム感を出すのが難しい点がデメリットかもしれません。
装飾の主役になるよりは、むしろ脇役として、他の植物や素材と組み合わせて使うのがおすすめです。
見た目が似ている「シノブ」と組み合わせると、涼しげな印象を与えてくれるでしょう。先端が細い苔なので、糸も巻きやすいかと思います。

シノブゴケとハイゴケの違い

シノブゴケとハイゴケ

ハイゴケは漢字で「這苔」と書くように横に広がって育ちます。
シノブゴケも這って成長するため、見分けがつかないという方もいるようです。
ここではシノブゴケとハイゴケの違いについて解説していきます。

見た目の違い

特徴 シノブゴケ ハイゴケ
黄色味を帯びた緑色 黄緑色や黄褐色
茎と枝 規則的に分かれる 枝分かれしない
日当たり 日陰を好む 日向を好む
乾燥時の反応 枝が縮れ、葉が茎に密着する 枝が裏面に向かって巻き込む
群衆の形状 マット状に広がる 平らな群落を形成する
長さ 5〜10cm 10cm
価格(300×450mm) 2,640円(税240円) 2,750円(税250円)

シノブゴケとハイゴケの使い分け

どちらも這うように成長する苔ですが、光や湿度に対する適応力が異なるため、用途に応じて使い分けるのが良いでしょう。

ハイゴケは、明るい場所を好みます。
他の苔と比べて生育が早いため、大面積の緑化に適している苔です。
ホームセンターでも取り扱っているので、比較的、手に入りやすいのではないでしょうか。

一方、シノブゴケは、日陰を好みます。
先端が細く三角形のような見た目ですので、庭に敷き詰めるというよりも、庭園やコケ玉の装飾に用いられています。アクセントといった感じでしょうか。
流木や多孔質の岩にも定着しやすいので、盆栽との組み合わせにも適しているでしょう。

日当たりの良い場所にはハイゴケ、日陰にはシノブゴケと、用途に応じて使い分けてください。

まとめ

今回は、シノブゴケの育て方について解説してきました。
シダ植物の「しのぶ」に似た見た目を持つ苔で、春や秋に黄金色に変化するなど、季節によって表情を変えるのが魅力的ですよね。

庭で育てる場合は、雨水だけで十分ですが、苔テラリウムでは葉が乾いてきたら霧吹きで水を与えてください。乾燥に弱いため、水やりを怠ると生気を失ってしまうので注意しましょう。

苔庭、苔テラリウム、盆栽、苔玉などさまざまな用途に使用できるため、アイデア次第で、いろいろな表情を見せてくれるはずです。
ぜひ、季節に応じて変化するシノブゴケを育ててみてください。